この世にタダ働きはないのです

また気になったツイートから。
この会話の内容が事実か否かはさておき、この短い会話の中でいくつ問題が含まれているのでしょうか?

インターンシップに関しては、職業体験でインターンとして企業に派遣される学生等が「労働者」であるか否かが問題とされています。
制度上、インターンはあくまで教育目的に実施されるものなので、インターン学生は労働者とはみなされていません。
しかしながら、数年前から「インターンシップ名目で学生をタダ働きさせる」悪質な企業が現れ、「名ばかりインターン」問題としてマスメディアや国会などでも取り上げられたことがありました。
インターン学生は「労働者」か否か・・・・例えばそれは次のような判断基準で判断されます。
  1. 仕事の依頼や労務提供に対してやるやらないの判断の自由があるか
  2. 仕事の進捗に関して、別の者から何らかの指揮命令があるか
  3. 勤務時間が拘束されているか
  4. その業務に関して本人以外の者が代わりに労務提供することが許されているかどうか
  5. 報酬が労務時間や日・月単位で計算されている場合(遅刻や欠勤などで報酬が減額されたりするかしないかなど)
以上のような判断基準と別の補足的な判断基準から総合的に考慮して判断されます(詳しくは、労働基準法研究会報告「労働基準法の『労働者』の判断基準について」(昭和60.12.19)を参照)。
先の会話の中の「正社員同様の扱い」や「残業」などから判断するに、このインターン学生は「労働者」と判断されるでしょう。
となると、まず労働時間は原則1日8時間、週40時間に制限(労働基準法 第32条第1項・第2項)されますし、万が一残業(時間外労働)を命じられた場合は、当然、企業には時間外労働に対する割増賃金の支払い義務が生じます(労働基準法 第37条第1項)。

意識が高い学生さんほどいわゆる自己実現欲求が高いため、労働を提供すれば相応の対価(賃金)をもらうという、働く上でのもっとも基本的なルールを度外視しがちで、一方、狡猾な企業は学生のそういった無知な部分につけこんだりするんです。
インターンシップによって職業体験を先取りするよりも、まずは学校で労働基準法などといった働くための最低限のルールを学ぶ方が、よっぽど将来のためになると思います。

もしご自身やまわりのお知り合いでちょっと変な働き方をしているかもと思ったら、どうぞお近くのユニオンにご相談ください。
おそらくほとんどの場合、それは問題のある働き方ですから。

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